KOマウスの表現型解析

KOマウスの表現型解析

CoMBI装置を利用した研究成果が、Developmental Dynamics誌に掲載されました。

Loss of VAMP5 in mice results in duplication of the ureter and insufficient expansion of the lung. Ikezawa M, Tajika Y, Ueno H, Murakami T, Inoue N, Yorifuji H. Developmental Dynamics 247(5), 754-762, DOI: 10.1002/dvdy.24618 (Accepted: Jan 13, 2018, Published: Feb 10, 2018 )

CoMBI装置を開発するきっかけとなったノックアウトマウスです。VAMP5(細胞内の小胞輸送に関わるタンパク質)をノックアウトしたところ、嚢胞腎を呈しました。嚢胞腎の解析では、嚢胞の大きさ、数、由来組織を特定するのが定番です。当初、切片をつくって解析しようと考えましたが、切片では腎臓全体での嚢胞の様子が分かりません。しかも出生率が低いので、個体数(標本数)を増やせませんでした。そこで「ひとつの標本から、3Dデータで全体像を観て、かつ、切片を染色して嚢胞の由来組織を特定したい」と考え、CoMBI法を開発しました。論文中の嚢胞腎3Dデータは、初代CoMBI装置で撮影したものです(図 1st gen)。初代は完全手動式で、ボクセルサイズはxyz=40, 40, 40 μmでした。その後改良をすすめ、最新の第4世代では、xyz=5, 5, 5 μmの3Dデータを自動撮影で得られます(図 4th gen)。論文では、嚢胞腎の3D解析にくわえ、マウスの死因究明にもCoMBI法を用い、肺の拡張不全を報告しています。

世界では、マウス全遺伝子に対して、欠損ES細胞の作製(IKMC: The International Knockout Mouse Consortium, 2007-)、ノックアウト個体の表現型データベース構築(IMPC: The International Mouse Phenotyping Consortium, 2011-)といったプロジェクトが進んでいます。本研究では、IKMC由来のES細胞を利用しました。掲載論文は、VAMP5ノックアウトマウスに関する第一報です。表現型データベースの構築に、わずかながら貢献したと考えています(新しい3D解析手法ですので、IKMC標準の実験手法には合致しませんが…)。また、本研究成果を元に、腎臓や肺の形成・機能に関する研究が進展すると、期待しています。